2012-03-20

旅立つあの子へ

もう3月も下旬に入ろうとしていて、本当に季節の巡るのは
早いなぁと思う祝日の午後。


入学や転校、就職に転職・・・3月、4月はいろいろな人が
新しい世界へ一歩踏み出す季節ですね。

今日は、そんな方たちに向けて、絵本の紹介です。

「エロイーサと虫たち」
文 ハイロ・ブイトラゴ  絵 ラファエル・ジョクテング
さえら書房 ¥1,365
1冊目は、コロンビアの絵本。

「ふるさとから とおくはなれた この町に
ある日、わたしたちは たどりつきました。」
で始まる物語。

お父さんと二人、まったく新しい環境に入った少女の
心の様子を描きます。

心細くて、心配で、みんながやることうまくできないし
「ヘンな 虫に なった気分。」

エロイーサは人間で、周りが虫、なので、
このセリフがなんともレトリック。

(でも、周りの虫の表情の豊かさといったら!)

まったく違う世界から新しい環境に入った小さな人の
”やるせなさ”を理解してほしい大人にも読んでほしい本です。


「アライバル」 作 ショーン・タン
河出書房新社 ¥2,625

次の1冊は、はじめの「エロイーサと虫たち」と同じテーマなのですが、
まったく違う個性を放っています。

一人の男が、家族を置いて、言葉も習慣も全く違う異国の地で
新しい生活をはじめ、その地に根付いていくまでの物語。

説明してしまうと一文に要約できてしまうのですが、
この本は字がまったくありません。

でも、文があったら逆に邪魔だと思えるほど、
ショーン・タンの描写力と想像力は、目を見張るものがあります。

気付いたら、本の世界にはまりこんでしまい、
上質の映画を観終わったような読後感の残る名作。
(ぜひ、手に取ってほしい!)


この2冊とも、異国で新しい生活を始めた移民をテーマとしています。

言葉や習慣も全く違う世界で生活し始めるという状況は、
新しい学校に入ったり、新しい場所で住み始めるのとは
スケールの違うものです。

でも、そこで感じる不安や孤独感、またそれを乗り越えられる人間の力を
物語から感じることは、新しい環境にこれから身を置く人にとって、
きっと大きな力になると思います。


でも、新しい環境で、やっぱりうまくいかないこともある。

あー何をやってもうまくいかない。
自分に無理しちゃったりして、疲れたな。

そんな時には、これでいきましょ。

「ぼちぼちいこか」
文 マイク・セイラー  絵 ロバート・グロスマン
偕成社 ¥1,260

カバ君が、いろんな職業に果敢に挑戦するんだけども、
いつも失敗してしまう。
でも、落ち込まないのが、このカバ君のいいところ。


「どないしたら、ええのんやろ。」

「そや。ええこと おもいつくまで ―
ここらで ちょっと ひとやすみ。」

「ま、ぼちぼちいこか ―
ということや。」



そやな。
あせっても しゃーないもんな。
ぼちぼち いこか。

そこの あんた。そやで、あんたもな。
ま、ぼちぼち いこや。

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