2011-06-18

”つもり” 旅行をご一緒に

もし、予定もない休みの日、朝から雨が降っていて、
今日は何もしたくないような気分で一人いたら、
そんな日は、本と一緒にもう一度布団にもぐりこんでみる。

今日は、違う国に行ってみたい。
この雨雲を突き抜けて、違う国の空気や匂いを感じに出かける。

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「犬が星見た ロシア旅行」 武田百合子
中公文庫
エッセイでおもしろいの、というと著者が女性のものばかり
思い出してしまうのだけど、なぜでしょう。
女性の方が、とりとめもなくいろんなことを綴っていく、という
エッセイという形式に向いているのだろうな。

昭和44年のロシアへの旅。
まず船でロシアに行くところから、時代を感じる。
でも、きっと今のロシアに、この本の中と同じ時代が流れている
場所がまだあるんじゃないか、と思えてしまう。
著者の目の付けどころや感想がなんとも可笑しくて、時に
シニカルでもある、名エッセー。

「フランス日記」 高山なおみ
アノニマスタジオ
私は、高山なおみさんの料理、そして文章が好き。
高山さん自身「サラダは、菜っ葉だけのものに塩をふるだけの」
が好きというようなことを書いているけれど、
彼女の文章は、まさにそんな感じで、気取りがないのです。

読んでいると、情景や匂いまでが浮かんで、一緒にフランスで、
路地を歩いたり食べ物をほおばったりして、どっぷりとフランス
旅行を楽しんでしまう。

そんなエッセーに合わせて読んだら楽しいのは・・・
「パリのすみっこ」鈴木るみこ編
マガジンハウス
まずは、この表紙の写真からノックアウトされる。
La Maison du Pastelという画材のパステルを手作りで
つくっている店。

「パリを歩いていると、ふいに、本当にふいにですが、
永遠に出会った気がする瞬間があります。・・・略・・・
そんな永遠に出会えそうな場所を、私たちは「すみっこ」と
呼ぼうと思うのです。・・・略・・・
すみっこには、贅沢や斬新はありませんが、そのかわりに
誠実さと親密さがあります。そういうものがお好きなかた、
どうぞ、ご一緒に。」

鈴木るみこさんの文章は、いつ読んでも素敵です。


「スペインのBARがわかる本」 川口剛
バルクカンパニー
私は、スペイン語を専攻していて、スペインに2年間滞在していました。
スペインといえば、BAR(バル)。
最近は、スペイングルメブームもあって、現地の味かと思えるほどの
スペイン料理店やバルも日本に登場しています。
でも、スペイン現地のBARの魅力は、料理だけじゃない。

著者(私と同い年!)は、グラナダ(私がいた都市、そして同時期滞在!)の
バルの分布から、タパスの種類(ただで出てくるおつまみのこと)
客の年代や利用時間帯など、よくやったなぁと思うほどに調べている。
読みながら、今すぐにでもバルに飛んでいきたい、と何度も思う。

この本のおもしろいところは、そんなバルについて事細かに調べながら、
バルはスペイン人にとって「第二の居場所」として、バルを中心に人が
繋がっているという、都市環境学的視点でバルを見ているところ。

あれから、だいぶ時間は経って、物価は高くなったりしているけれど、
バルというスペインの大黒柱みたいなものは、まったく変わってません。
スペインの魅力を知りたい方は、ぜひ、ご一読を。

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さぁて、我が家に帰ってきた。
外は、相変わらずのしとしと雨。
布団の中でうれしくて、にやにや。
楽しかったな、ロシアの旅。フランスの旅。スペインの旅。
今度は、どこに行こうかな・・・

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